居心地の良かったチェコを離れ、お隣のスロバキアに行く事にした。
道中、こんな木を見かけた。

木に丸い塊状の植物がくっついている。
なんだか面白い木だなーと思いながら、進む。
川沿いの道は、本当に気持ち良い。

ダートでなければ(笑)
道がしっかりしていれば!!

そして、スロバキアに入国。

例の如く、国境はない。
「スロバキア」は「Slovensko(スロベンスコ)」と呼ぶらしい。
スロバキアでもまた丸い植物を見かけた。
しかも、大量に(笑)

この木、実は「ヤドリキ(宿り木)」というヨーロッパおよび西部・南部アジア原産の半寄生の灌木(かんぼく・低い木)で、他の樹木の枝の上に生育するのだ。
ぱっと見は面白い木だな。
と思っていたが、実は2種類の植物だったのだ。
そう言えば、チェコとスロバキアも、元々1つの国(チェコスロバキア)だったが、分裂した。
その経緯は…。
歴史的に工業化が進んでいたチェコのGDPは1990年代初頭、スロバキアに比べ20%上回っていたが、成長率の伸び悩みが大きな問題となっており、チェコの政界ではスロバキアが経済的な重荷となって経済成長が妨げられているとの見方が広まっていた。
こうした状況を背景にチェコはスロバキアに対する経済支援資金の拠出を停止した。連邦制の廃止とチェコとの離別が声高に叫ばれ始め、スロバキアへの分権促進を巡り、連邦政府とスロバキア共和国政府の間では激しい応酬が続いた。
そして、スロバキア国民議会が一方的にスロバキア共和国の国家主権宣言を採択したため、スロバキア政界の動きを追認する形で連邦解体が正式に合意され連邦制が解消された。
分かりやすく言うと、
「チェコ人にとって、スロバキア人はヤドリギ(寄生)だった」
一度同じ国になったとしても、文化的なもの、慣習など異なる点が多いと上手くいかない場合があるのだ。国の名前でも分かる。
チェコとスロバキアが一つになって、先頭に付く名前が優位になっているのだ。
チェコスロバキア。
絶対、チェコが優位に決まっている。
この名前のために、実は論争が起こっていた。
「チェコスロバキア」じゃなくて、「チェコ=スロバキア」にするべきだと。
両国は対等なのだ!!と。
このことは、「ハイフン戦争」と呼ばれている。
企業の合併だって同じ。
対等に合併したとしても、先頭にくる名前の方が優位なのだ。
最近びっくりした合併ニュースがあった。
米化学大手ダウ・ケミカルとデュポンの対等合併。
新社名は「ダウ・デュポン」

取締役には両社から8名ずつ、CEOはデュポン、会長はダウ。
対等合併って、絶対にありえない。
株式も約50%ずつと書かれていたが、「約」を見落としている。
実際は、ダウ52%、デュポン48%。
社名の順番、業績および株式から考えても、ダウの方がやや優位だろう。
しかし、節税対策、技術共有、資金共有など、相乗効果は計り知れない。
チェコとスロバキアのように宿主と寄生いう形ではないので、成功するだろう。
解体したチェコとスロバキアの関係は現在どうなっているかといえば…。
チェコスロバキア時代は、上下関係がはっきりしていたため、いがみ合っていたが、それぞれが対等な独立国となったことで、現在は良好な関係になっている。
何でも互いを認め合わなければ、協力できないのだ。
そんなスロバキアの初日は、森の中で過ごした。

僕たちはスロバキアの森にヤドリギすることにしよう。