タイのバンコクに来て1週間、日本に帰って来たようなリラックス感に満たされ、緊張感が全くない無防備な状態になっていた。
町をブラブラし、屋台メシを食べ、タイ式マッサージで癒され(実際、マジで痛い)、そろそろ、バンコクからアユタヤに向け出発したその日に出来事が起こった。

走行途中、ゆかの体調が優れない。
熱っぽく、けだるい。
前日にハードなタイ式マッサージを受けていたため、揉み返しか?
と自己判断していたのがまずかった。

熱を測ると、38℃越え、走行は早々に終え、ホテルに泊まり、病院に行くと「A型インフルエンザ」という診断が…。
(((((((( ;゚Д゚)))))))

インフルエンザ!?
まさか!?

インフルエンザウイルスを扱った研究もしていた僕にとって、非常に大きな違和感を覚えたのだ。


僕がタイでインフルエンザにかかった違和感


iflu.jpg

ズバリ発症条件だ。
日本でインフルエンザが流行する時期は12~3月の冬の時期だ。
温度が低く乾燥した冬には、空気中に漂っているウイルスが長生きすると言われている。

実際、1961年にG.J.Harperらによって、その定説が発表されている。
温度、湿度を変え、6時間インフルエンザウイルスを静置した後の生存率を計算している。

温度湿度静置時間生存率
A21~24℃50%6h3~5%
B21~24℃20%6h60%
C7~8℃50%6h35~42%
D7~8℃20%6h63%
E32℃50%6h0%


この結果から、低温、乾燥条件だと生存率が高いと言える。
ちょっとソースデータが古いので、怪しい感じもする。

一方、日本の厚生労働省は、このような勧告を出している。
「空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。」

湿度が低いとインフルエンザにかかりやすい。
その理由として
① 湿度が低いと気道が荒れ、感染しやすい状態になっている
② 湿度が低いと、ウイルスが遠くまで飛ぶ(湿度が高いと下に落ちる)

が挙げられる。
ふむふむ、湿度がポイントなのかも。


タイのインフルエンザ流行時期は雨季と乾季!?深まる違和感


上記の結果では、低温、乾燥条件でインフルエンザを発症しやすいと結論付けている。
しかーーーし、タイのインフルエンザ流行時期は雨季と乾季なのだ!!

熱帯性のタイは一年中気温が高い。
乾季は湿度が低いが、雨季は湿度が高い。

雨季に関しては、日本のインフルエンザ流行と全く異なるのだ。
(((((((( ;゚Д゚)))))))

おかしい。
おかしすぎる。

タイでインフルエンザになったとき僕が感じた最大の違和感だ。


インフルエンザウイルスを扱う研究をしていて感じること


インフルエンザウイルスは乾燥に強い?


Field_090142.jpg

上記では、乾燥を好むと記載したが、研究していたときの体感では「乾燥に弱い」のだ。
そもそも、インフルエンザウイルスは環境中で不活性化しやすく、時間の経過とともに壊れてしまう。

CDC(米国疾病予防管理センター)の感染対策ガイドラインには、以下のように記載されている。
⇒ 「通常の飛沫が付着した場合、ウイルスの生存期間はおよそ2-8時間程度であろう」
(環境表面の状況(平滑か凹凸か)や気候条件(温度、湿度など)、あるいは付着したウイルスの状態と量によっても変わる)
引用(英語):CDC "2009 H1N1 Flu ("Swine Flu") and You"

もし環境表面にウイルスが付着していたとしても、一晩経っていればそこから感染する可能性はまずないと考えて問題ない。


インフルエンザウイルスは増えにくい


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インフルエンザウイルスは「ウイルス」なので、細菌のように環境中で増殖しない。
宿主(ヒトなどの生き物)に感染して、初めて増殖できる。
ウイルスは、「生き物」と言うより、「物質」という言葉の方が近いのだ。

ちなみに、実験で用いるようなインフルエンザウイルスは有精卵に接種して、増殖させている。実際やってみたことあるのだけど、ワクチンを作っているようでなかなか楽しかった(笑)


インフルエンザウイルスの培養は高温で


culture2.jpg

有精卵にインフルエンザウイルスを接種して培養するのだが、その際の培養温度が35℃前後なのだ。

ますますインフルエンザウイルスと温度、湿度の関係性が怪しくなってきた。
ひとまず、温度は関係ないかな。

さぁーて、どうしたものか…。
調査を続行しよう。


湿度100%または50%未満でインフルエンザウイルスの生存率が高くなる


何だかこじつけのような、研究報告を発見した。
⇒ 最新健康ニュース

2013年に"Journal of the Royal Society Interface" に掲載された米国の研究によると、 湿度が100%に近いか、あるいは50%未満のときに、ヒトの粘膜の防御因子が弱くなり、そこに付いたA型インフルエンザウイルスの生存率が最も高くなるというのだ。

うーん。
ほんまか?
湿度90%だと防御因子が強くて、100%だと弱くなる。

何だか、スッキリしない。
調査続行(笑)


湿度と紫外線強度によって、インフルエンザウイルスの生存率が変わる


0412-2.jpg

これだぁぁぁぁぁ!!!
「紫外線強度」
つまり、太陽光とインフルエンザウイルスの生存率が関係しているかもしれない。

環境湿度紫外線強度感染リスク
A日本の夏高い高い低い
Bタイの雨季高い低い高い
C日本の冬低い低い非常に高い
Dタイの乾季低い高い高い


紫外線強度は雨天では低くなり、晴れだと高くなる。
タイの雨季や日照時間の短い日本の冬は紫外線量が少なくなるため、インフルエンザウイルスの生存率が高くなり、感染しやすくなるということだ。

もう少し突っ込むと、紫外線は、
① UV-A(315 ~ 380nm)
② UV-B(280 ~ 315nm)
③ UV-C(200 ~ 280nm)
に分類される。

殺菌効果は260nm付近のUV-Cが最も強力だが、、300nm以下のものはオゾンに吸収され、地表には届かないと言われている。
よって、自然界に存在しているUV-AまたはUV-Bがウイルスの減少に起因しているのだろう。

確かに、太陽光で細菌が減っていくと聞いたことはあるが、インフルエンザウイルスの生存期間は、2~8時間(上記CDCガイドライン)。
2時間、300nm以上の紫外線で効果はあるのだろうか?

信憑性のありそうな実験資料が見つけられなかったが、人間の皮膚だって、夏場に2時間も外出していると、日焼け(火傷)してしまうぐらいだ。
さらに、乾燥も促進されるだろうから、ウイルスにも効果はあるに違いない。

でも、室内なら、紫外線の関係がないような・・・(笑)
(((((((( ;゚Д゚)))))))

せっかく、スッキリ頭になっていたのに(笑)


ビタミンDがインフルエンザウイルスに効果がある!




殺菌ではなく、太陽光による免疫応答かもしれない。
ビタミンDは、紫外線を浴びることによって体内(皮膚)で作ることができる。
2017年2月のBBCニュースによると、

「ビタミンDのサプリメント摂取によって、英国で300万例以上のかぜやインフルエンザの罹患を減らすことができるとする研究が、このほど発表された。ビタミンDには、免疫システムを助ける効果があるという。」
(医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ))

また、北米の研究では、ビタミンDの血中濃度は8月に最大、2月に最小になるらしい。
2月と言えば、北半球のインフルエンザ流行時期と重なるので、信憑性が高い気がする。


まとめ


タイでインフルエンザにかかり、その疑問について徹底的に調べた結果!
インフルエンザの流行には以下の因子が関わっていると推察できた。

乾季:湿度の影響
⇒ 空気の乾燥により、気道粘膜の防御機能が低下
⇒ インフルエンザが流行

雨季:紫外線強度の影響
⇒ 紫外線の減少による、殺ウイルス効果の低下およびビタミンDによる免疫応答の低下
⇒ インフルエンザが流行

以上のことから、タイなどの熱帯地域では冬じゃないからインフルエンザにならない、という固定観念を捨て、年中インフルエンザにかかる可能性があるので、しっかり対策して行きましょう!

インフルエンザを予防するには、手洗い、水うがい、マスクおよびビタミンD摂取が効果的だろう。

 
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2017 / 06 / 13 | Category : タイ  | comments(0) | 

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